【読書感想言わない文】義経

義経」(司馬 遼太郎)

 

中学2年生の国語の教科書には

平家物語の「冒頭部分」と「扇の的」、「弓流し」が

掲載されている。

 

それぞれ現代語訳も併記されているので

書かれている内容自体は読めば理解できる。

 

「扇の的」の概要はこうだ。

①沖に逃げた平家側から、陸にいる平家に対し、

 扇を掲げた小舟を流し射落として見せよという挑発を行う。

 「やれるもんならやってみな!」

 

②カチンときた義経那須与一に「やれ」と命令。

 

③与一は見事、扇の的を射落とす。

 

④平家の黒革縅を着た男が、与一の腕前に感動し舞を舞う。

 

義経「殺れ」⇒与一、舞を舞う男を射殺す。

 

⑥源氏「よくやった!」平家「心ないことを!」

 

この⑥のシーン。

平家側から「情けなし(心無いことを)。」と声が上がるシーンに

以前から、少し違和感があった。

 

だって、戦争じゃん?

敵を殺すのが普通では?と。

舞を舞う方がどうかしてるのではと。

 

しかし、本書「義経」を読んですべてがストンと落ちた。

 

平清盛が平家の世を築いてから後、

朝廷での政治に勢力を傾けてきた平家は

 武士から公卿へと変貌していった。

 

無論、価値観も変化を遂げ

荒々しい武骨なものよりも、雅なものを好むようになった。

 

だから、相手の腕前を讃えて舞うようなこともするのだ。

 

 

この「扇の的」の舞台は屋島である。

屋島には平家の本拠地があり鉄壁の防御を固めていたが

義経の奇襲により制圧され、平家は海へと退避したのだ。

※この鉄壁の防御をかいくぐる方法が凄いのだが割愛する。

 

この時、平家の総大将は平宗盛

その数は1000~2000。

奇襲をかけた源氏はわずか150。

平家が冷静に対処できれば、撤退することはなかったはずが、

総大将が真っ先に海へと逃げ込み、勝敗は決する。

 

公卿は政治家なのだ。

命あっての物種、死ぬくらいなら汚名などと考える者もいただろう。

 

命が惜しいのである。

 

 

一方、源氏を率いる義経

兄の頼朝をはじめ「源」の血に対して病的なまでの情愛を持っており、

死をも恐れぬ気迫で戦っている。

 

しかも、この戦いで側近の佐藤継信を殺されているのである。

※あまりの傷心に一時休戦し、継信を弔ってから戦闘を再開させている。

 

雅を演出したがる平家。

それを殺気立って血眼になっている石頭の義経

最後まで付き合うはずがない。

 

 

その後の「弓流し」のシーンも

この小説を読んでみると「いかにも義経らしいな~」と感じられ、

面白さがよく分かるようになる。

 

義経」、

中学生にもおススメである。