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【読書感想言わない文】後妻業

「後妻業」(黒川 博行)

 

夏期講習が終わった。

 

私たちが塾を営んでいるエリアでは

夏休み明けに前期期末試験が行われる。

その為、中学3年生の夏期講習では

「受験対策」と並行して「期末試験対策」を行っている。

どちらも妥協できない、大切なものだ。

だから授業時間も優に100時間は越えているし

授業以外にも連日

朝から晩まで自習をしに来ている生徒もいる。

 

ただ。いまだに

 

「何時間も勉強しました」

「宿題は全部やりました」

「ゲームを封印しました」

「睡眠時間を削りました」

 

と自慢げに寝ぼけたことを言っている生徒がいる。

よく頑張ったね~!と褒めてもらいのか。

 

甘い。

 

まだ結果を出していないのに何を満足しているのか。

 

本当に、次の試験に対しての手応えはあるのか。

ライバルと圧倒的な差を付けることは出来たのか。

90点ではなく、100点を狙えるほどに究めたのか。

 

たくさんやったことを褒めてもらえるのは小学生まで。

受験生は定期試験と入試で「結果」を出さなければ

それまでどのような努力をしていたとしても、報われない。

 

あと一問、あと一点と泣く未来もあるのだから

その一問、その一点にこだわらなければダメだろう。

 

先ほどのような甘ったるい言葉を口にする生徒ほど

問題を間違えると「ケアレスミスで~」などと言う。

ミスにケアレスなんてものがあるか!

ミスはミスであり、致命傷にもなる。

それを「うっかり」などと軽く流すなよ。

 

リオ五輪のシンクロの井村コーチは言う。

「敵は己の中の妥協にあり」と。

 

妥協をしない人間は、

勉強時間なんかで自慢しない。

苦労話なんてしない。

そしてミスを軽んじない。

 

 

さて、標題の「後妻業」(黒川博行氏)は、

後妻として資産家の資産を狙う悪女と

その片棒の結婚相談所所長の

手練手管を生々しく描写した物語である。

物語としては、中学生にオススメできるものではない。

が、作中の詐欺手口はもちろん

妥協なく獲物を追う姿はまさにプロである。

 

この作者の圧倒的な取材量と視点の鋭さ、

緊迫感のある中にユーモアあふれる筆致で

読者を引き込む腕力はすさまじい。

作者自身が本当に詐欺でもやってるんじゃないか

と疑いたくなるくらいすごい。

 

これぞ、妥協のないプロの仕事だなと思う。

 

 

勝負の前期期末試験まで、

あと2週間を切った。

 

プロ受験生として

妥協のない日々を送ってもらいたい。