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【読書感想言わない文】超高速!参勤交代 / 超高速!参勤交代リターンズ

超高速!参勤交代

超高速!参勤交代 リターンズ」(土橋 章宏)

 

歴史の勉強をするときに、

教科書の文字をただ追っていても

眠くなるだけだという生徒は

楽しむための工夫が足りないと思う。

 

マンガで歴史を押さえるのも手だし、

歴史の登場人物のプロフィールを作るのも良い。

その人物のプロフ画像を手描きすると愛着もわいて

記憶にも残りやすいだろう。

 

時間があるなら歴史小説に手を伸ばすのもありだ。

 

タイトルの「超高速!参勤交代」シリーズは

随所にユーモアも散りばめられており

すいすい読むことができるだろう。

 

四字熟語のように「サンキンコウタイ!」と覚えるよりも、

参勤交代が諸藩にとってどのようなものだったかを

ストーリーとともにしっかりと意味をつかむことができるし

その周辺の知識も自然と身に付くはずである。

 

しかも、本書の面白さに引きこまれれば

勉強しているという意識は消えて無くなる。

【読書感想言わない文】十角館の殺人

十角館の殺人」(綾辻 行人)

 

漢字が苦手という生徒は意外と多い。

 

形声文字」という言葉はまだしも、

漢字の旁(つくり)で

ある共通する音を表すことを知らない生徒が

まあ多い。

 

陽(よう)、楊(よう)、揚(よう)、、

場(じょう)、腸(ちょう)、暢(ちょう)・・・

 

共通する旁(つくり)は「昜」である。

どれも同じ音や近い音で読む。

「昜」、これ自体も「よう」と読む。

 

このように旁(つくり)で音を表す文字を

形声文字という。

 

だから

「瘍」という文字を目にしても

ああ、「よう」と読むのだろうなと見当がつく。

 

しかし、以上のことは

あまりにも常識すぎる話なので

このように文章に起こすのも恥ずかしい。

 

しかし、知らなかった生徒からすれば

まさに目からウロコ状態。

「あ~そうなんだっ!!」

と無邪気な反応を示す。

学校教育の闇を感じずにはいられない。

 

「鍚」も「よう」と読むが

鍚杖は「しゃくじょう」と読む。

こうして例外が現れたときには

悔しさを噛み締めながら覚えればよい。

 

さて、「十角館の殺人」(綾辻 行人氏)であるが、

今から30年近くも前に世に出たものとは思えない、

とんでもない仕掛けが施されている。

目からウロコがボロボロ取れた。

悔しい。

これが氏のデビュー作なのだから恐ろしい。

 

さて、「十角」は本来「じっかく」と読むが、

この作品名としては「じゅっかく」と読むそうだ。

 

悔しさを噛み締めながら覚えた。

【読書感想言わない文】沈黙

「沈黙」(遠藤 周作)

 

今日は、朝から模試を行っている。

中3の内申点を確定させるための最後の戦いとして

来週に試験を控えているからである。

 

試験で狙われやすい問題を中心に、

当塾の教師たちが腕によりをかけて作る模試。

ここで高得点を取れる生徒は自信になるし、

間違えた箇所を中心に勉強していくことで

残されたわずかな時間を有効に使うことができる。

作る側も大変だが、毎試験前には必ず実施している。

 

自分の実力がどれくらい伸びたのか

腕を試したくてうずうずしている生徒もいる。

頼もしい。

 

やるべきことをやり切ったのであれば、

その後の運命を真摯に受け止められる。

人事を尽くして天命を待て。

 

さて、標題の「沈黙」(遠藤周作)は

切支丹弾圧の時代に密入国した司祭の運命を綴る物語であり、

神の『沈黙』がテーマになっている。

キリスト教に関する最低限の知識があった方が理解しやすい部分はあるが、

司祭の心の動きは、現代の私達の胸にもしっかりと響く。

 

試験前だけの「困ったときの神頼み」では

神は沈黙したままである。

【読書感想言わない文】震える牛

震える牛」(相場 英雄)

 

10月10日、体育の日である。

東京五輪の開会日をこの日にしたのは、

統計上10月10日が最も晴れやすい日だったからだ!

と聞いて育ったが、

実は10日は晴れの特異日ではないそうである。

 

スポーツの秋。

私は季節に関係なく自重トレーニングを行っているので

特段トレーニング量を増やすようなことはないが、

夏場と違って涼しいのでやりやすい。

 

食欲:体づくりも兼ねてそれなりの量の食事をするし

読書:年間150冊近く本を読むし

音楽:ほぼ毎日ピアノを弾くし

 

所謂「○○の秋」と呼ばれるものは

年がら年中やっているので特別感はないものの

やはり涼しさは「やりやすさ」に直結するものだなあと

実感している。

 

勉強もそうだろう。

暑い、寒いを言い訳にして勉強をしないなんてことは

本来あってはならないものだが、

実際、極度の暑さや寒さは集中力を削ぐことはある。

 

秋なら、そんな弱音を吐くこともできない。

涼しくてやりやすくて仕方がないだろう。

 

さて。

この半年で、内申点をぐいぐい上げている生徒が

たくさんいる。

5科目合計16→25(オール5)を始め

9科目で2桁伸ばしている生徒もざらにいる。

やはり、意識高くコツコツと勉強した生徒は

短期間でも大きく飛躍するものだね。

 

夏の暑い時期にもこうして成績を伸ばせたのだから、

秋・冬はもっとイケるね!

 

と笑顔で授業に入る今日この頃。

 

 

震える牛」(相場英雄氏)であるが、

食肉業界の裏側をえぐった物語なので、

手にする、口にする肉に対して

しばらく警戒感が解けない。

 

食欲の秋にブレーキが掛からない方は

一度お読みになると良いだろう。

【読書感想言わない文】旅のラゴス

「旅のラゴス」(筒井 康隆)

 

私は一時期、旅をすることを仕事にしたことがある。

それは日本に住む外国人に会いに行く旅だ。

 

日本語は難しい。

これは国籍問わず、色んな外国人から聞こえてくる声だ。

 

まず、文字。

表音文字である「ひらがな」「カタカナ」だけでなく、

表意文字である「漢字」を覚えていかなければならない。

 

そして、文法。

英語など、語順が大きな意味を持つ文法体系と異なり、

助詞・助動詞の使い分けが決め手となる日本語を使いこなすことは、

ネイティブ日本人であっても難しい。

 

そこに、省略。

主語や目的語はもちろん、動詞すらも省略されることが多い。

日本語は「察してなんぼ」の言語なので、

話し手の意図をきっちり汲み取る為には

聞き手にかなり高度なスキルが必要になる。

 

極めつけが、遠慮。

なるべく自分の発言が周りに変な影響を与えないよう、

配慮に配慮を重ねた物言いとなることが多いので、

本音がどこにあるのか、

日本人同士でも汲み取れないことがある。

 

例えば

A「おなかすかない?」という呼びかけに対して、

B「何にする?」と応じたとする。

 

まず、Aの発言は、誰のお腹がすくのかが不明だ。

そして末尾は「ない」なので、否定なのか、質問なのか不明だ。

ただ、相手への呼びかけだし、おそらく質問なのだろう。

そしてBは、その質問に質問で返すという荒技に出る。

Aがお腹をすかせてきたことを察し、何を食べたいかを聞いたのだ。

しかも。お互い自分の主張はせず、まず相手への配慮。

ゆえの、質問だけでの会話が成立する。

 

外国人からしたら、

この会話は相当レベル高い。らしい。

 

さて、そんな摩訶不思議な日本語に輪を掛けて難解なのが

日本の法律や条例などのルールだ。

 

日本の自治体などから届く郵便物は、記述が細かく、

彼らには読めない、もしくは読めても意味が分からない部分が多いそうだ。

中には、自治体からの郵便物はすべて税金の徴収だ

と思って怖くて開けられないという人もいる。

 

いまはインターネット環境が整っているので、

母国のニュースは逐一入って来るが、

日本のニュース・情報はさっぱり分からん!という状況が

長年改善されずにいるのだ。

 

そこで、日本に住んでいる外国人の方々の為に

日本のニュース・情報を

彼らの母国語で書いた新聞を発行して

届けてあげようではないか!という会社が存在する。

そして、この新聞はやはり人気がある。

 

しかし、課題があった。

首都圏に住む外国人であれば、

こういった母国語の新聞を届けることはたやすいが、

地方に散っている外国人の手元にはそうはいかない。

 

そこで、我々は新聞会社と手を組み、

地方を旅しながら外国人を探しだし、

新聞の販路を開拓する仕事を始めたのだった。

 

成果が出なければ打ち切りとなるので

緊張感のある旅路ではあったが、

とても楽しかった。

 

自分の立てた企画、自分の商売だから

すべてが自分にかかっている。

だから、楽しかった。

 

この塾もそうだ。

だから楽しい。

 

 

さて、「旅のラゴス」(筒井康隆氏)であるが、

SF大家の筒井ならではの、設定のこまやかさに

読みながら感服してしまう。

そしてなによりも。「旅人」である主人公に

自分の人生を重ねて見てしまった。

 

自分の人生を振り返ったときに、

大きな旅、大きな冒険をしたな!と

笑いながら語れるようになりたい。

【読書感想言わない文】精霊の守り人

精霊の守り人」(上橋 菜穂子)

 

夏休み直後の前期期末試験を終え、

点数が大幅にアップしている生徒が続出している。

一方で、いまいち伸びなかった生徒もいるし、

中には点数を下げてしまった生徒もいる。

 

反省すべきは反省し

課題を克服していくのみだ。

 

さて、学習塾に通わせている以上、

塾に子どもの成績アップを求めることは

当然だと思う。

 

子どもの将来のことを考え、

教育に投資することは正しい。

 

ただ、投資するものによって利回りは異なるものだ。

ということを忘れてはならない。

 

金融商品では、一般的に

信用の格付けの高い商品は利回りが低く、

信用の格付けの低い商品は利回りが高い。

 

では、塾業界ではどうか。

 

多くの保護者が、投資先である塾を

「信用」で判断していないだろうか。

 

「信用」とは則ち知名度であり、

運営企業の母体の大きさであると

考えていないだろうか。

 

企業の株を買うのならばそれで良いと思う。

金融商品の「信用」とはそういうものだろう。

 

でも、

子どもの成績を伸ばすための塾選びならば

それだけで判断してはならない。

 

なぜなら、

教育の投資先は「塾」だけでなく

当の「子ども」でもあるからだ。

 

「塾」と「子ども」で二人三脚を組ませたときに

うまくリズムがとれるのか。

これが重要なのではないかと思う。

 

必要なものは

一方的な「信用」ではなく

寄り添い合える「信頼」関係なのだと思う。

 

得意科目はもちろん、

性格や趣味嗜好、

勉強に対する姿勢や

未来への展望といったものは

正に千差万別であり

「子ども」は一人一人

唯一無二の存在である。

 

教師はそんな彼らと対峙する以上、

それが個別指導であれ集団指導であれ

授業は仕込みの段階から

一人一人の反応を想定して組み立てなければならないし、

授業の本番では一人一人の反応をみて

柔軟に変化させなければならない。

しかも、目的地には確実に到達させなければならない。

 

つまり、

生徒との二人三脚のリズムをうまく合わせることができて、

かつ、ゴールまでなるべく早く短い距離を走れるような授業を

教師は提供しなければならない。

 

大手塾のマニュアル化した研修を受けた教師が

授業でどこまでそれを実現できるのか。

激務と薄給に嫌気をさし辞める者も多く、

たとえ残ったとしても、本当に実力があるならば独立をするだろう。

 

実際、CMなどでよく目にする有名な学習塾から

我々の元に転塾をしてきた生徒の多くが

短期間で成績を上げている。

 

教師は授業中の私語も携帯利用も咎めず

試験範囲とは異なる授業を一方的に提供し

成績が伸びない子にはコマ数を増やすべきと営業をかける。

というようなこともあるそうだ。

 

もしこれが事実ならば、

投資利回りが高い訳がない。

 

ありがたいことに

我々に「信頼」を寄せて下さる親御さんは多い。

これからもこの信頼に答えていかなければならないと

気を引き締めている。

 

 

さて、「精霊の守り人」(上橋菜穂子氏)であるが、

主人公である短槍使いの女用心棒が、

あるきっかけで第二王子の命を守るべく奮闘する

ファンタジーである。

 

若い王子は生き抜くために

森で主人公から命を守るための特訓をつけてもらう。

まさに命懸けの二人三脚である。

そしてこの二人の「信頼」関係が

状況を打破していくことになる。

 

 

我々もさすがに、走らない子どもと組んではうまく走れない。

馬の尻を叩くように走らすこともできるが、

結果を残したいのならば自分の意志で走るべきだ。

 

「信頼」関係とは、我々一方だけで築くものではなく

双方の力が不可欠であるということを忘れずに。

【読書感想言わない文】後妻業

「後妻業」(黒川 博行)

 

夏期講習が終わった。

 

私たちが塾を営んでいるエリアでは

夏休み明けに前期期末試験が行われる。

その為、中学3年生の夏期講習では

「受験対策」と並行して「期末試験対策」を行っている。

どちらも妥協できない、大切なものだ。

だから授業時間も優に100時間は越えているし

授業以外にも連日

朝から晩まで自習をしに来ている生徒もいる。

 

ただ。いまだに

 

「何時間も勉強しました」

「宿題は全部やりました」

「ゲームを封印しました」

「睡眠時間を削りました」

 

と自慢げに寝ぼけたことを言っている生徒がいる。

よく頑張ったね~!と褒めてもらいのか。

 

甘い。

 

まだ結果を出していないのに何を満足しているのか。

 

本当に、次の試験に対しての手応えはあるのか。

ライバルと圧倒的な差を付けることは出来たのか。

90点ではなく、100点を狙えるほどに究めたのか。

 

たくさんやったことを褒めてもらえるのは小学生まで。

受験生は定期試験と入試で「結果」を出さなければ

それまでどのような努力をしていたとしても、報われない。

 

あと一問、あと一点と泣く未来もあるのだから

その一問、その一点にこだわらなければダメだろう。

 

先ほどのような甘ったるい言葉を口にする生徒ほど

問題を間違えると「ケアレスミスで~」などと言う。

ミスにケアレスなんてものがあるか!

ミスはミスであり、致命傷にもなる。

それを「うっかり」などと軽く流すなよ。

 

リオ五輪のシンクロの井村コーチは言う。

「敵は己の中の妥協にあり」と。

 

妥協をしない人間は、

勉強時間なんかで自慢しない。

苦労話なんてしない。

そしてミスを軽んじない。

 

 

さて、標題の「後妻業」(黒川博行氏)は、

後妻として資産家の資産を狙う悪女と

その片棒の結婚相談所所長の

手練手管を生々しく描写した物語である。

物語としては、中学生にオススメできるものではない。

が、作中の詐欺手口はもちろん

妥協なく獲物を追う姿はまさにプロである。

 

この作者の圧倒的な取材量と視点の鋭さ、

緊迫感のある中にユーモアあふれる筆致で

読者を引き込む腕力はすさまじい。

作者自身が本当に詐欺でもやってるんじゃないか

と疑いたくなるくらいすごい。

 

これぞ、妥協のないプロの仕事だなと思う。

 

 

勝負の前期期末試験まで、

あと2週間を切った。

 

プロ受験生として

妥協のない日々を送ってもらいたい。