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【読書感想言わない文】ジェノサイド

「ジェノサイド」(高野 和明)

 

光陰矢のごとし。

新学期が始まったと思ったら

すぐそこまで前期中間試験が迫ってきている。

と感じている生徒も多いと思う。

 

一方で着実に試験対策を進めている生徒もいる。

 

この違いは、未来に対する想像力の違いと言えるかもしれない。

 

年間行事予定表に掲載されている各定期試験の日程を見る。

自分の成績を具体的にどの程度上げたいのか目標を決め、

試験でどの程度の成果を残すべきなのかを考える。

試験の日程から逆算し、

いつまでにどの程度の実力を付ける必要があるのか。

実際に勉強に充てられる時間はどの程度なのか、

試験前後で提出すべきものがあるならば計画的に備え、

直前になって「提出のための作業」の発生を防ぐ。

 

などなど、試験に向けて様々な角度から想像をめぐらす。

 

そして現状と理想とが乖離しているならば

必死に差を埋める行動を取る。

 

そういうことが出来る子は、やはり強い。

 

無論、これが出来る生徒は少ないことは分かっている。

少ないから、我々も日々メッセージを送り続けるし、

出来る生徒のやり方やペースを真似していく中で

成長していって欲しい。

 

さて、「ジェノサイド」(高野 和明)。

ジェノサイドとは「大量殺戮」の意味であり物騒なタイトルである。

 

この小説には、人類滅亡を引き起こす可能性のあるシナリオを考察し、

それをまとめたレポートが出てくるのだが、

この内容が非常に興味深い。

 

未来に対する想像力が桁外れである。

 

 

人間と他の動物とで決定的に違う部分の一つは、

様々な「未来」を想像できるということだろう。

過去の失敗や経験から、それを未来に活かす程度のことは

他の動物でもできる。

ただしゼロから思考・想像を重ねて、それを実現させていくことは

他の動物には真似が出来ない。(はず。)

 

未来を想像できない以前に、

失敗からも学べないようでは、

半人前と言われて当然である。

【読書感想言わない文】烏に単は似合わない

「烏に単は似合わない」(阿部 智里)

 

4月に入り、今日で春期講習も最終日である。

入学・進級し、新たな環境で最高のスタートを切れるよう、

短い時間ではあるが、とっておきのエッセンスを凝縮して渡してきた。

 

新中学一年生クラスで

アルファベットをきちんと書けなかった子たちが、

英単語の100問テストで満点やそれに次ぐ成績を収めているのを見ると、

子どもたちの成長のスピードに驚かされる。

 

やはり、過保護に簡単なことばかりをやらせるのではなく、

ちょっと(かなり)厳しい目標を設定して爆走させた方が、

出来たときに得られる達成感が違うのだろう。

そして、それに対する称賛。嬉しそうな顔。

 

一度「やれば出来る」「出来ればかっこいい」ことが分かれば、

あとは勝手に突っ走ってくれる。

途中で失速しないよう、しっかりサポートをしていこう。

 

さて、「烏に単は似合わない」(阿部 智里)であるが、

作者は若干二十歳で松本清張賞を受賞した。

これは史上最年少である。

 

これまで同賞受賞者には、

日本を代表する大作家がずらっと並んでおり、

同賞受賞作品は言うまでもなく傑作ぞろいだ。

この作品はそこに並べてなんら遜色の無い

すばらしいものだった。

 

本書解説にもあったが、

傑作には「まぐれ」が存在する。

その作品自体はまぎれもなく傑作ではあるものの、

以降の作品がいまいちという作家も多くいる。

 

では阿部氏はどうか。

デビュー作における世界観や設定の

スケールの壮大さ、細かい部分への配慮を見る限り

それは杞憂だろう。

 

出る杭は打たれるとは言うが、

若き才能に嫉妬する一部の人間の声などに

耳を貸す必要はない。

このまま突き進んでもらいたい。

 

当塾に通う原石たちも、

年齢など気にせず大いに才能を磨き

輝いてもらいたい。

【読書感想言わない文】64(ロクヨン)

「64(ロクヨン)」(横山 秀夫)

 

2月末に、神奈川県公立高校の合否が発表された。

満点道場は見事、全員合格。

合格圏外からもギリギリまで粘って勝ち取った生徒もいる。

ひとまずはお疲れ様。残りの中学生活を楽しんで下さい。

 

でも、高校入学はゴールではないからね。

今日から高校準備講座も始まるから、

せっかく身に付けた学習習慣はキープし、

次の目標に向けて少しずつ歩き始めること。

 

さて標題の64(ロクヨン)は

警察の広報部を舞台に

マスコミとの衝突や警察内部での衝突などを描いた作品で

これまでの警察小説とは違った切り口なので

それだけでも新鮮で面白い。

丁々発止のやりとりには臨場感があり、

あっという間に引き込まれた。

 

なおかつ昭和64年に起こった未解決の誘拐殺人事件の影が

時効間際に鎌首をもたげ、物語に緊迫感を与える。

 

作中に「たまたまが一生になることがある」という台詞が出てくる。

物語の展開についてはここでは伏せるが、

とても胸に響く言葉だった。

 

人と人との繋がりとは分からないものだ。

1対1の家庭教師から5年。

100名を超える生徒に対して責任を持つことになるとは

あのときには思ってもいなかった。

たまたまが一生の仕事になるような予感がしている。

 

今回、晴れて高校に合格した面々も

これから想像をはるかに超える人生の展開に

喜び悲しむこともあると思う。

 

そのときそのときを

一生懸命に生き抜く以外に方法はない。

明日の為に今日を生きるのではなく

今日の為に今日を生きる、

そんな愚直な姿勢が大事になることがあると思う。

 

でも

どうしても困って二進も三進も行かなくなったら、

いつでもここに来れば良いよ。

たまたま生徒と先生という縁で繋がったけど、

一生の付き合いにしていこう!

【読書感想言わない文】探偵の探偵

「探偵の探偵」(松岡 圭祐)

 

神奈川県では原則全ての公立高校入試で面接が行われる。

そして多くの高校で、

調査書(内申点)4:学力検査4:面接2の割合(※)で評価される。

かなりエグイ。

(※比率が異なる高校もある。また別途特色検査や実技検査を行う高校もある。)

 

内申点は3年間かけて積み上げていくものだ。

そして、学力検査も入試に向けて長期間猛勉強をしていくものだ。

しかし、面接はたったの10分。

たったの10分で内申点や学力検査の半分の点数を評価されてしまう。

 

だから、当塾では

徹底した面接対策を行う。

そして、我ながら超圧迫面接だと思う。

内容を優れたものにしていくことはもちろん、

面接時の度胸も大事だからだ。

 

当日は見知らぬ大人二人を相手に面接をする。

しかも自分の人生がかかった大一番だ。

緊張しないわけがない。

 

普段から、厳しい面接を練習していれば

当日も臨機応変に振る舞える。

 

過去の卒業生たちも口を揃えて

「面接は余裕でした」と言う。

「先生たちほど怖くはなかったので」と。

 

ここのところ毎週土曜・日曜は面接練習だ。

少しずつレベルが上がってきていることが実感できるものの

まだまだ完成にはほど遠い生徒もいる。

残された時間はあと二週間。

最悪を想定して、最高の準備をしていこう。

 

さて「探偵の探偵」(松岡圭祐)であるが、

主人公は「対探偵課」に所属する探偵である。

調査力を悪用する探偵が世には沢山いる。

その探偵を探偵し、業界を自浄していく役目を担うのが

対探偵課=探偵の探偵である。

 

探偵同士の抗争にもつながるため

最悪を想定して、最高の準備をしている。

この準備が臨機応変さを生み出す。

 

そして最後に、

勝負を分けるのはやはり度胸の差であると

思い知らされる。

 

今日も心を鬼にして

怖い面接官役に徹しようと思う。

【読書感想言わない文】ふくわらい

「ふくわらい」(西 加奈子)

 

いよいよ私立の推薦入試も本格的にはじまった。

 

公立高校と異なり、私立高校は各校独自の問題が出される。

それぞれ程度の差はあるものの出題の傾向は分析できる。

しかし、出題傾向に過度にこだわる必要はないと思っている。

 

例えば英語。

中学3年までに習得すべき内容が完璧であれば、

どのような問題が出されても答えることができる。

 

十分な単語力と熟語力を身に付け、

文法を深く理解し、英作文への自己確認が出来、

長文読解におけるスピードと正確さを磨き、

弱形・強形をはじめリスニングに関する技能を完成させる。

 

そういったあたりまえのことを徹底して取り組めば

ライバルに大きく水をあけられることなどない。

 

「○○高校の英語」などという英語は世の中に存在しない。

その高校が独自につくった新しい文法だとか、

その高校の問題だけに出てくる単語や熟語なんてものは存在しない。

出題傾向とはすなわち、「問い掛け方の違い」なのであって、

どのように問われるのかさえ分かっていれば戸惑うことはない。

 

※もちろん一部の難関校などでは中学の範囲から逸脱したものが

出されることがあるのでその場合は対策が必要だろう。

 

誠実に勉強して来た者には、ゆるぎない実力が備わってきている。

平常心で臨めば、大丈夫。健闘を祈る。

 

さて、「ふくわらい」(西加奈子)であるが、

主人公はかなり特殊な設定の人物であるので、

作品全体の評価は割れているようだ。

 

ただ、この主人公は非常に誠実な人間として描かれており、

その誠実であろうとする姿に、

誠実になりきれない人間は鈍い痛みを覚えるのだろう。

 

周りからは一見「変な人」であっても

何事にも誠実に向き合い続ければ、いずれ認めてもらえる。

 

これからも誠実に仕事をしていこう。

中学生の君たちも誠実に勉強してくれ。

【読書感想言わない文】有頂天家族

有頂天家族」(森見 登美彦)
 
受験生へ
 
古来より、日本では「節目(ふしめ)」を大事にしてきました。
 
何を決意し始めるにしても、
いつ始めたのか、その始点となる日がうやむやになると
どれだけ続けてきたか把握しづらいだろうから、
覚えやすい節目を選ぶ。というわけだ。
 
事実、お正月に一年の抱負を書き初めしたりすると
最高のスタートを切った感があり、
気持ちも晴れやかになる。
 
けれど。
 
正月を待つ必要あんの?
君らが今やっている勉強で、
分からないところや苦手なところを
後回しにする口実にしてはダメだよ?
 
今日この瞬間から、
気になる項目は片っ端から攻略せよ。
 
受験が片付いたら
みんなで焼き肉食いに行こうな。
パーっと楽しめる時間を作るよ。
 
 
 
標題の「有頂天家族」は森見登美彦ワールド全開で
全力で脱力できるので、気分転換には持ってこい。
 
楽しきことは良きことなり。

【読書感想言わない文】図書館の魔女

図書館の魔女」(高田 大介氏)

 

先週は宮崎中で、今週は宮前平中で後期中間試験。

みな必死に勉強している。

しかし、これまで以上に苦しんでいる生徒が多い。

そうとう勉強が得意な生徒からも、

今までのような余裕は感じられない。

 

前回の試験からの短い期間の中で、

これまで以上の試験範囲と、

より難易度の増す内容に、

悪戦苦闘している。

 

ただ、こういう厳しい状況になることは

春先からずーっと言ってきている。

 

特に中1は、最初の前期中間試験は

範囲も狭く、内容も簡単なので

中学の試験を甘く見てしまう。

 

でも、それは喩えて言うなら

軽いジョギングなんだってば。

校庭を1周、さくっと走って来るだけの

誰だって乗り越えられるもの。

 

ただ、これからは

両手にダンベルを持ちながら、

長距離を走るような難題も

乗り越えていかなければならない。

 

特に、後期の中間からはグッとペースが上がるから、

準備を怠らないようにと、何度も口にしてきた。

 

でも、対岸の火事を眺めるかのごとく

実感が沸かずにいた生徒も多かっただろう。

しかたがない。

火の粉が降りかかる距離まで火の手が近づかねば

自分事として捉えられない人は多い。

 

だから、我々は

やる気の有無に関係なく、

勉強をやらせる。

日々の小テストで満点を取ることを

ノルマにしている。

満点でなければ再テスト。

満点を取るまで再テスト。

だから、いざというときにも

気付けば土台が出来ている。

という状況を、全生徒に作ってあげたいからだ。

 

でもやはり、再テストを受けることを前提に、

一発目に全力をぶつけてこない生徒は、

ゆるやかだが確実に学力を落としていく。

 

 

 

さて、「図書館の魔女」であるが、

これは高田大介氏のデビュー作である。

 

一発目に全力、それも

両手にダンベル、腰にタイヤ、

よく見ると

大リーグボール養成ギプスも着こんでの

サハラマラソン完走!ぐらいの全力を

ぶちかましてきた、傑作である。

 

生徒たちも

この熱量を感じたら

今回の状況ごときで厳しい厳しいと弱音を吐くのが

あほらしくなるだろう。